新日本プロレス創世記の1972年から1998年11月まで、26年間に渡り2万試合以上裁いてきたミスター高橋の暴露本。目次を見るだけで、「プロレスというドラマの演出」とか「本物の血を流すアクションスター」といきなり刺激的な題目が。

 「1日の全試合について、マッチメーカーはカード編成と勝ち負けを決める。(中略)言葉には出さず、勝つレスラーには「お前がこっち」と親指を上げて合図する。反対に負けるレスラーには親指を下げるのが合図だ。」というプロレスを観る上での最大の疑問?勝敗について始めからいきなりこの内容。ということは筆者を始めとしてDDTだけでも半数近くいるプロレスファンは騙されてみていたのだろうか?また97年5月3日にDDTの交流会と称し観戦した大阪ドーム大会で行われた「橋本真也vs小川直也」の試合についても、「まず東京ドームで小川が勝ち、翌月の大阪ドームで橋本がリベンジ。これは最初から敷かれた路線だった。」とあっさりと告白。さらにその後の問題の試合。1.4の東京ドームの試合についても「橋本は、勝たせてもらえるつもりでリングにあがったのだ。」「(猪木が)小川をたきつけて勝手にセメント(真剣勝負)を仕掛けさせ、戦闘準備のない橋本を一気につぶしたのだと思う」と一連の流れを告白。

 本書の牙をむけているアントニオ猪木についても、「セメントはどの試合だったのか、結論を先にかいておこう。それは対モハメッド・アリ戦、対アクラム・ペールワン戦だ。」とそれ以外の試合は全て勝敗が決まっていた試合だったと。また筆者頃の世代の人なら小学生の頃行われたIWGP決勝戦「猪木vsホーガン」でホーガンのアックッスボンバーで猪木が舌だし失神KO負けをした衝撃の試合も「当然ながら、私たち全員が、金看板である猪木さんを勝たせるつもりでいた。」「舌をだして倒れている猪木さんを叩き起こすことができない。「新間さん、猪木さんの負けにしますからね」「あんた、そんなことしたら、すべてが水の泡だよ」とシナリオが狂ったかに思われたが実は「結論から言うと、あれは猪木さんの一人芝居だった。」「猪木さんが意外な結末をリアルに演出し、IWGPとホーガンの価値を高めようとした」結末だったらしい。当時マッチメーカーの坂口征二は真相を知り「試合の翌日、私が会社に行くと、坂口さんは「人間不信」と大きく書いた紙を残して姿をけしていた。」また別の書物「アントニオ猪木の伏魔殿(新間寿著)」にも「猪木はすぐに病院に担ぎ込まれ、面会謝絶になった。私と坂口は病室の外でひたすら待っていた。翌日の朝、徹夜空けで病室に入った。そのときの驚きとはいったらない。ベッドには猪木でなく弟の啓介が寝ているではないか。猪木は夜中にこっそり病院を抜け出していたのだ。」やはり猪木は「猪鬼」だったのか?

 他にもプロレスにおける流血試合はレフリーやセコンドが指にテーピングで巻いた剃刀を使用していることや、生中継などでは必ず終了間際に終わるようにセコンドがタイムキーパーになり、レフリーがゴーサインをだして試合を終わらせていたなどプロレスの謎が解明?されている。

 しかし僕自身の感想なのだが、プロレスの歴史の答え合わせをしているとしか感じなかったのだが。この本を信じるか信じないか?ここで最後にタブロイド版プロレス週刊紙「週刊ファイト」元編集長でI編集長こと井上義啓(よしひろ)さんの言葉

「プロレスとは底が丸見えの底無し沼である。」               

(了)

DDT者の夏休みの読書感想文@
流血の魔術最強の演技
-すべてのプロレスはショーである

著者:ミスター高橋
出版社:講談社
定価:1500円(税別)
流血の魔術最強の演技 すべてのプロレスはショーである

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